輸入関税支払いを銀行引き落としにする(リアルタイム口座)

輸入関税支払いを銀行引き落としにする方法について解説します
ここでは、輸入関税支払いを銀行引き落としにする方法について解説します。

<関税を到着時支払いにするデメリット>

まとめ便などを使用して、商品を海外から輸入する場合、到着時に関税の支払いをすることが多くなります。

この場合、いくつかのデメリットが発生します。

 

1.発送作業担当者に直送する場合の手続きの煩雑化

海外から発送した荷物を、発送担当に送付する場合、関税の支払いを荷受けの担当者にお願いする必要があります。支払確認書の管理や、金銭のやり取りなど、担当スタッフとのやり取りが必要になります。請求ミスなども発生する可能性があります。

 

2.FBAなどの倉庫納入がしにくい

発送をAmazonなど業者管理の倉庫にする場合、海外からの直接納入ができなくなります。Amazonなどが関税を立替えることは、原則としてありません。

 

解決方法

これらの問題を解決する方法は、2つあります。

 

1.クレジットカード決済

DHLなどの国際宅配便業者では、輸入関税支払のクレジットカード決済をオンラインで可能です。

ただし、受取時は現金決済のみであることが多いため、事前にオンラインで決済しておく必要があります。

しかし、追跡番号が発行されてから、荷物が到着する“前日”までに決済を完了しないと、現金決済になってしまうことがあります。

そのため、「タイミング」に常に気を遣う必要があります。

現実的に、これを完璧にこなすことは難しいでしょう。

(DHLのクレジットカード決済は「0120-39-2580」にご連絡下さい)

 

2.銀行引き落とし(リアルタイム口座)

「JASTPRO(一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会)」が発行する「日本輸出入者標準コード(通称: JASTPROコード)(以下、輸出入者コード)」を取得し、「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社)」にその輸入者コードや銀行口座を登録することで、「関税が全自動で銀行引き落とし」されるようになります。

そこで、今回は本格的に輸入ビジネスを行える、「銀行引き落とし」について実施方法を解説します。

全体的な流れは、以下の通りです。

 

全体的な流れ

1.銀行口座・役所等で発行する書類の準備

2.JASTPRO申請

3.NACCS申請

4.輸入業者(DHL等)へ連絡

全体の流れを完了させるためには、およそ1ヶ月前後は必要ですので、余裕を持って動くようにしましょう。

以下に、1つずつ説明します。

 

1.銀行口座・役所等で発行する書類の準備

輸出入関税を引き落とすために、指定できる対象となる銀行は決まっています。

対象の銀行の口座を所有していない場合、すみやかに口座開設の手続きを行ってください。

これらはNACCS申請の際に、必要となります。

対象となる銀行一覧

対象となる信用金庫一覧

次に、必要となる書類を用意します。

これらは、JASTPRO申請の際に同封します。

なお、法人と個人事業主では、必要な書類は異なります。

 

2.JASTPRO申請・JASTPROコードの取得

JASTPROにて、輸出入者コードの発行を行います。必要な手続きは、以下の通りです。

・JASTPROへ新規登録
・本登録
・指定口座へ入金

それぞれ、解説をします。

JASTPROへの新規登録

法人の場合は法人の「印鑑証明書(6ヶ月以内)」、個人の場合は「住民票」、また担当者の「本人確認書類」をご用意下さい。それらはPDFかJPGなどの形式に保存しておきましょう。

詳細は以下のページからご確認いただけます。
初回申請の場合は、新規登録申込を行って下さい。

 

 

法人と個人で記載内容が異なるようです。会社区分を入力してメールアドレスを入力します(今回は法人の内容で記載しています)。

 

メールを確認すように求められます。確認してクリックしてください。

 

 

クリックをすると本登録の画面に推移します。入力していきましょう。

まずは、申込み手続きをする方ご自身の情報を入力します。

登録内容各種を入力しましょう(以下は法人登録用の画面です)。

 

支払い明細です。「お支払い口座情報の表示」をクリックします。

振り込み明細が出てきます。その場で振り込めない場合は記録しておくか、もしくは別途メールでもこの画面のURLが送られてくるので、ご安心ください。

 

こちらがメールの画面です。

 

申請書類が受理されて、手続きが完了すると、「標準コード登録通知書」というものが届きます。

次の「NACCS」申請に必要な情報が記載されています。

この書類が到着次第、次のステップに進みましょう。

 

3.NACCS申請

「標準コード登録通知書」が届いたら、「NACCS」にある「リアルタイム口座振替」というものへの申請を行います。

次にサイトに移動します。

ちなみに「リアルタイム口座振替」という名称の意味については、分かりにくい点がありますが、気にしないで大丈夫です。

関税が自動で引き落とされる銀行口座を登録しておくもの、という風に考えてください。

リアルタイム口座
https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/tetsuduki/realtime/index.html

上記サイトの「申込方法」にある、「申込用紙」(EXCEL版・PDF版)をダウンロードして、必要事項をご入力ください。

1枚目はNACCS用、2枚目は指定した銀行用です。

3枚目は「控え」です。3枚目は記入する必要はありません(そもそもで送付しません)。

控えとして、1枚目と2枚目をコピー(スマホで撮影でOK)しておくと良いです。

※「コード」にJASTPROで得た輸出入者コードを記入し、「輸出入者コード」を選択してください。

1枚目のNACCS用と2枚目の銀行用を上記サイトの「書類送付先」に送付します。

4.BiZDELiへ情報を登録

NACCSにてリアルタイム口座の登録が完了すると、登録完了通知が届きます。

この時点では、まだ関税の銀行引き落としは適用されません。BiZDELiに情報を共有していただく必要がございます。

配送先管理にて必要事項を入力してください。

 

 

主に入力するのは以下の部分になります。不明な部分は、各補足に記載のある入力例やヘルプページをご参照ください。

 

 

以下のページも参考にしてください。

配送先住所の事前登録・追加・変更・削除する方法(まとめ便)

 

その上で、念のためBiZDELiチャットで輸入者コード取得とリアルタイム口座登録済の旨をご連絡いただくと確実です。

場合によっては、クーリエ(国際配送業者)に直接連絡が必要な場合があります。その場合は、国際配送業者に連絡をして、リアルタイム口座を利用して、関税の支払いを行ってもらうように伝えましょう。基本的にはBiZDELiにご連絡いただくだけで問題はありませんが、それでも適用されなかった場合は、以下のようなメールを送ります。以下は、実際にDHLに申請を行った際に、DHLから頂いたメールです(法人仕様です)。

会社名(個人事業主名)や引き落し口座番号や銀行名、お届け先住所などは、JASTPROやNACCSに提出した書類の通りに記載するようにしましょう。

数日以内(早いと当日)に、DHLから手続き完了のメールが届きます。これですべての登録作業が完了です。

 

【実際の利用に際して】

実際の利用において、不明になりそうな点について、若干の補足をします。

 

■輸出入における、発送伝票に「輸出入者コード」などは記載する必要はあるのか?

ありません。ただし、宛名(法人名・個人事業主名)や宛先(住所)が一致している必要があります。

宛名や宛先に基づいて、照合されるので、正確な記入をしましょう。

 

■輸入にて、複数箇所で受け取ることは可能か?

可能です。

複数箇所でも受け取りが可能です。

DHLの申請時に、お届け先住所に、該当する住所をすべて記載して下さい。

 

■立替納税手数料について

リアルタイム口座を利用することにより、関税(輸入関税と輸入内国消費税等)以外に必要だった、「立替納税手数料」が不要になります。

以下のDHLの場合、1回あたり1000円(税抜)で必要ですので、度重なる利用で、大きなコストになります。

リアルタイム口座利用の最大のメリットの1つは、これが不要になることです。(青い部分が不要になります)